ZEBRA RELAY ESSAY Back Number

永遠の0(ゼロ)

今日は長いよ覚悟しな
 昨年末に封切られて話題になった『永遠の0』だが、3ヶ月を超えてのロングランである。たいしたものである。作品はものすごく泣けるのかと思っていたら、私にはそれほどでもなかった。場内ではすすり泣きはあちらこちらから聞こえたが。
 いい役どころをもらったな、と思えたのが新井浩文、染谷将太、田中泯そして夏八木勲である。新井はいろいろな映画に出ているが、本作のようなルサンチマンを抱えていて、不用意なことを言うと爆発しそうな感じが怖くていい。染谷は終盤で「そうだったのか!」の役をもらえて儲けもの。真面目な人間ドラマなのによくあそこで捻りを加えられた。田中は凄みのある右翼(?)の役で、出てくるたびになにがしか緊張した。出番の最後で三浦春馬を抱きしめるシーンには同性愛的な雰囲気も。そして夏八木であるが、これが彼の遺作になるわけである。すでに癌に冒されていた時期だと思われるが、そんな気配はほとんど感じさせなかった。これが見納めなのだと思うと一瞬も逃すまいと凝視した。
 原作者の百田尚樹は最近もまた人をクズ呼ばわりしてようだが、右翼的なスタンスの人である。特攻を賛美するような作品かと思ったが必ずしもそういう感じでもなかった。主人公はむしろ反戦的な思想の持ち主であった。中韓はどういうかわからないが、戦後の日本の戦争映画で無邪気に戦争を扱っている作品は観たことがない。どこか戦争の悲惨さが投影されている。
 この作品はまたCGの出来の良さも評価されていたが、私は別段そうは思わなかった。神風特攻隊のリアルなCG映像の衝撃は、2007年の石原慎太郎原作の『俺は、君のためにこそ死ににいく』で経験済みであるからである。これの凄さには絶句してしまった。『永遠の0』はそれと同じ手法であったので、その点での驚きはなかった。
 おまけとして。
 7年前に『俺は、君のためにこそ死ににいく』を観に行ったときのこと。丸の内TOEIだったと思う。チケットを買おうとして劇場窓口に並んだ。ふと窓口を見たら若い女子社員であった。その時にハタ!と思ってしまった。
「私はこのコに 俺は君のためにこそ死ににいく って言うの?」。
 えー、そんなのムリだよー!こんなの言えるの岩清水だけだよぉ。どんな顔して言うんだよ。オレ、このコのために死ぬの?向こうだってそんなこと言われたらイヤじゃないの? 下らないことだけど、人生の最大のピンチ!えー、どうしよ、どうしよ。だんだん順番が迫って来ちゃったよ、あー、どうしよー。切羽詰まった私は
「...慎太郎のやつ一枚」
「俺は、君のためにこそ死ににいく、ですね」
嗚呼、彼女はヘタレな私の為に冷静に散華を選んでくれたのでした。

こんな人前で言えないような小っ恥ずかしいタイトルつけんなよ、シンタロー! 
(TOHOシネマズ日本橋他で公開中)  www.eienno-zero.jp  Y.F.(3/24)


※ 来年度より消費税率が8%に改定されます。それにともないまして、成立ゼブラ諸費用の税込定価も4月1日より改定いたします。ご不明な点がございましたら各クラブスタッフまでお問い合わせください。

 

ZEBRA RELAY ESSAY

アーカイブ

[2019]
[2018]
[2017]
[2016]
[2015]
[2014]
[2013]
[2012]