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『山田孝之の東京都北区赤羽』はこういうふうに観るのかな?

いよいよ3月になりました。

さて、今年の1月から毎週金曜深夜にテレビ東京で放映されている『山田孝之の東京都北区赤羽』という番組があります。原作の漫画は成立高校出身の清野とおるさんの作品です。知っている場所、知っているお店が出てくるので、楽しみに観ています。
ただなんか奇妙な番組なので、どう楽しめばいいのか良く分かりませんでした。なんで撮影中の映画をほっぽり出して赤羽なんかに住むんだろう。第一線の役者が赤羽のキテレツな面々と交流する意味はなんなんだろうと。
第4話、5話の鷹匠とサイコロマンのあたりでやっと、どこが面白いのか分かったような気がします。まず、おそらく撮影中の映画『己斬り』というのはフェイク=嘘なのだと思います。山田孝之が自分捜しということで、ほとんど笑わずに常に思い悩んだ風情で、赤羽の奇人変人たちに振り回される。時にはナンパもさせられるし、合コンには実姉も巻き込み、サイコロマンなどという絶望的な芝居もさせられる。
頭がクラクラするような赤羽人の世界に日本のトップ俳優が無理難題を押し付けられて、真面目に(のフリ?)それに取り組む。赤羽人たちは素のままなので、これはこれで作られていない、彼らのまぎれもない真実です。「そうか!そこが笑えるところなんだ!」と。
悩み苦しんでいる(のフリ?)山田孝之がそんなことまでさせられるのか!そこに気がついてからは腹を抱えて笑えるようになりました。
下町だけれど粋じゃない。都内有数のターミナルだけれどモダンじゃない。東京だけれど赤羽にはドン臭くて奇妙な異次元空間がある!
『山田孝之の東京都北区赤羽』には嘘とホントがすれすれのところで絡まっているスリリングさがある。これは興味深い実験作品なのかもしれない。テレビ東京、恐るべし。

今月いっぱいで番組は終了します。みなさんで我が街、赤羽を堪能しましょう。  Y.F.(3/2)

 
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