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GODZILLA  ゴジラ

ZILLAはGODなり。
 たまには人気話題作を観る。ハリウッド製の『ゴジラ』である。ハリウッドゴジラは1998年にもローランド・エメリッヒが作ったが、このゴジラがすばしっこいトカゲみたいなので全世界ががっかりした。今回のゴジラは日本のゴジラにだいぶ近いが、僧帽筋が発達しすぎた小顔になっちゃって、怒りっぽいおじさんみたいになっているのが玉にきず。ただ、それよりもゴジラが戦う"ムートー"っていう怪物の造型が絶望的に魅力がない。エイリアンもそうだったが、合理的だがロマンチックじゃない造型がアメリカ人の好みなのか。
 映画ではビルに飛行機が突っ込んだり、津波が襲ってきたりと、9.11や3.11を彷彿させるシーンが満載だったが、クレームは来なかったのか。でも、あのハワイやラスベガス、サンフランシスコの破壊されっぷりを見ると、こりゃあ復興するのは大変ダゾ、と思わずにはいられない。それから核ミサイルというのは人の手で運べるものなのか?また手で触ってもいいものなのか、被曝しないの?とか、最後サンフランシスコ湾内で核ミサイル爆破させちゃうけど、そんなところで爆発させたら大騒ぎになるんじゃないの?と疑問も満載であった。
 また、ゴジラとムートーが戦う構図というのがまたわかりにくくて、かろうじて納得できたのは"ゴジラは自然界のバランスをとるために戦うのだ"という理屈のみ。それにしたって説得力が弱いと思う。
 日本代表として出演していた謙さんは芝居の8割が呆然としていた役だけど、あれで地球の危機に役だっていたのか疑問に残る。日本代表のガッカリ度はW杯クラスだと言っておこう。
 ただ、映画のラストに"怪獣王は救世主か?"というテロップが出てくるが、もうハリウッドがそこに気づいてくれただけでも十分だと思った。人類の危機を救って、黙って何事もなかったかのように海に帰っていく。まるでヒーローのようだった。そう、『シェーン』のアラン・ラッドのように。
 60年前のゴジラ第一作を「南の海から日本に上陸するゴジラは太平洋戦争で彼の地に散った、日本人、日本兵たちの亡霊なのだ」とする見立てがある。だからゴジラは怪獣ではなく、怒れる神(GOD-ZILLA)なのだ。原爆・水爆を手にして驕れる人類を戒め、そして守っている。それがゴジラなのだ。今回のゴジラが人の顔に近いのは怪獣ではなく、神だから当然だったのだ。
 おまけ。この映画の後半部分の主人公は『ノーウェアボーイ』でジョン・レノンを演じてた俳優だったのか。なんとまあ、ジョン・レノンがゴジラと戦ってたとはなあ。
(新宿ピカデリー他で上映中) http://www.godzilla-movie.jp/

写真のため 買ってしまった ペットボトルキャップ
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